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側面研ぎですよ

Posted on: 2009年3月8日

 エッジの研ぎ方に関する方々の意見を集約させながら、とある見解に行き着きました。それは…
 
 「エッジは磨耗しない、変形していく」
 
 如何でしょう。一般的な常識を覆すような新説でしょうね。しかしこれが、追求してみると、そうとしか考えられなくなってしまいました。以下、詳しく論述してみます。
 
 まず、鋼と氷の関係。最初にモース硬度を比較してみます。氷のモース硬度は0℃のとき1.5、-70℃のとき6だそうです。リンクの温度は0℃を下回ることはありませんから、表面の硬度は1.5と考えて良いと思います。ブレードは鋼ですが、具体的にどのような鋼かは分かりません。一般的な工具鋼と同じと仮定した場合、モース硬度は6です。この関係から、圧倒的に柔らかいのは氷。当然、傷が付くのは氷のほうです。言い換えれば、鋼には極圧以外の摩擦は、ほとんどかからないと判断できます。また、氷の特性上、剪断強さ(横に滑らせる力で氷を壊す)が弱いことも知られています。スケートの刃は、通常の滑走程度で極端に磨耗したりはしない、という理論が見えてきます。
 
 実際の例を挙げてみます。自動車のタイヤと道路のアスファルトの関係。これは、圧倒的にタイヤが柔らかいです。その為、磨耗するのはタイヤです。アスファルトは、タイヤによって磨耗することはありませんが、過積載のトラックや、大型車の頻繁な往来などにより、へこんでいきます。昔存在したスパイクタイヤは、アスファルトはもちろん、コンクリートも削ってしまいます。この粉塵が問題となり消えましたが、この事からも硬さの大小の関係こそ、磨耗する側、しない側を決める要素となる訳です。ちなみにブレーキは、基本的にパッド面が磨耗しますが、ディスク側も多少の変形を伴います。これはパッドに、ディスクより硬い物質が若干含まれているからです。ディスクへの攻撃性とも言われますが、良く効くブレーキほどディスクが磨耗するというのも、その物質の多少の差だという事は、明らかですね。
 
 では、なぜエッジは使い込んでいくと横滑りをするようになるのか?? 全ての謎は、ここに行き着く事になります。
 
 結論を先に申しますと、その答えは、エッジの変形です。
 
 変形と表現したのは、実際にどういう形に変わるのかは、良く分かりませんし、単に氷だけが相手とは限らないことも、理由です。ビスや敷居を踏んでしまった場合にも、エッジは変形します。また、靴紐の緩みなどでエッジがドリフトした場合や、頻繁なブレーキなども、変形の原因になります。通常の滑走では、極圧以外の摩擦や応力は考えなくてもいいので、相手が氷である限り、変形は生じません。ブレーキに関しては、慣れている人であれば、頻繁に使っても横滑りしやすくなるということはありません。つまりは、物理的な原因こそ、エッジの変形すなわち、横滑りの原因だということです。
 
 ここで視点を変えて、実際のエッジ研磨について色々聞いた話をまとめておきます。
 エッジワークの深い人は、研ぐ頻度が少ない傾向にあります。慣れた人ほど、研ぐ頻度が少ないです。よく研ぐ人は、初心者や不慣れな人に多い傾向がありました。自分の経験ですと、エッジワークの甘かった時期は頻繁に研いでいました。研がないとすぐ横滑りしていたからです。慣れるに従い、研ぐ頻度がみるみる減っていき、エッジに深く乗れるようになった今は、そのスパンもかなり長くなっています。週1回から2~3週に1回、今は月1回程度です。
 このことから、エッジワーク次第でも、エッジの変形を招く?という可能性が見えてきます。
 
 しかしながら、これについては別の観点で語る必要があります。
 研磨したばかりのエッジは、薄く鋭くなっています。言い換えると、もろい状態でもあります。氷に刺さりやすい為、滑走はしやすいはずで、甘いエッジワークでも確実に凍りに食い込みます。しかしこれがもし盲点だったとすれば?如何でしょう。初心者は、横滑りの原因を、エッジの磨耗だと考え、エッジワークの甘さが原因だとはあまり考えません。研げば、一時的には横滑りしなくなります。しかしすぐ刃は変形し、横滑りし始めます。特に、滑りよりも道具にこだわる人の傾向として、この悪循環があるような気がしています。
 逆に、慣れた人は頻繁に研ぎません。研いだ分だけエッジの寿命が減ると考えているスケーターも、多いと思われます。実際には、確実なエッジワークが身についていれば、多少溝が浅くなっても、問題ありません。エッジが効いていればいいのです。また、変形を伴うような行為も極端に少ないと考えられます。先程の悪循環の構図も存在しません。
 
 ここで、先日聞いた「側面研ぎ」を、実際にやってみました。先週の話です。
 効果としては、絶大でした。普通に溝研ぎしたのと同じでした。しかも、これまで溝研ぎして確実にフィーリングが変わっていた、ターンやスピンの傾向が、とても素直で、柔らかい応答でびっくりしました。ブレーキが若干効きにくいように感じたものの、むしろこれまで苦手だったダンスストップなどがやりやすくなり、その効果に驚いています。
 
 結論は見えました。エッジは磨耗するのではない、変形するのだと。
 考えてみれば、刃物とエッジでは同じ「研ぐ」でも結果は全く異なります。刃物の場合、刃面に対して直角に研いでいきます。これは、刃面にノコギリのようなギザギザを付けるためです。砥石の粒子の大きさの、数ミクロンの細かい「歯」を、刻んでいく作業です。対して、エッジは刃面に対して平行に研ぎます。当然、「歯」が刻まれるどころか、どんどん平滑になり、摩擦係数も小さくなっていきます。実は、全く違う「刃」を作っているのです。
 研ぎたての滑りの良さ、悪さの要素も見えてきました。機械研ぎで滑り出しが悪いのは、荒削りのために平滑度が落ちているからです。そう考えていくと、全ての状況を説明できます。そして、一つの考えにたどり着きました。
 
 摩擦係数を低くするのがいいのなら、鏡面処理を施せば……???
 
 今回は、側面のみ鏡面処理してみました。鏡面と言っても、刃先のほんの0.2mm程度の部分です。側面の返りを取る時と同じように、最初に油砥石で2~3往復。続いて400番の耐水ペーパーを木切れに当てて、3往復。そして600番・1000番・1500番・2000番と続けて、最後にコンパウンドで磨きました。刃先だけ、ギラリと輝く状態になり、指先でなぞると吸い付くように、平らになっています。摩擦係数は、ギリギリまで下がったと言えるでしょう。この状態で、リンクに…。実際の効果のほどは?
 
 すばらしい! 思った通りでした。最初は、やはりドリフトしやすい状態でした。エッジワークの甘さが出安いのは明白でした。ターンの回しやすさは格段に向上。慣れてくると、かなり摩擦抵抗が少ないと分かります。一蹴りで滑れる滑走距離がこれまでのより、数割伸びた感じです。そして何より、氷の状態に影響されにくいことが分かりました。入場者数500人という混雑状態の、荒れたリンクでも、整氷仕立てのリンクの感覚に近かったです。サブリンクとメインリンクを何度も往復して検証しましたが、全然変わりません。側面の鏡面処理には、かなり効果があったと結論付け。
 
 さて、そうなると溝に対して鏡面処理すると?という考えも出てきます。しかしこれについては、少々怖い気もします。この面は研ぐべきでないという理論と相反する可能性が、否定できないからです。
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