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フィギュアスケートのジャンプですよ

Posted on: 2010年4月13日

 フィギュアのジャンプは、客観的に見ると物凄い筋力・跳躍力がかかっている様に見られますが、実際はどうでしょう。
 スケートのジャンプは、実は滑走速度を揚力に変換している要素が大きいので、脚力そのものはそれ程重要ではありません。ただ、ジャンプの際に関節には体重の何倍もの負荷がかかることは事実。関節の故障の原因は、これ。筋肉の故障は、実はあまり多くなく、特に女子は柔軟系の技が多いため、転んだ程度で筋肉を傷めることは極めて少ないです。その程度で筋肉がダメージを受けるようでは、ジャンプの練習なんてとても出来ません。最初のうちは半分以上の確率で転びまくるのですから。そういう意味では、ジャンプで故障するのは男子が多いという気もします。とにかく故障で多いのは、打撲。筋肉より骨のほうが何かと問題になるかも知れません。関節は足指含め、軟骨の変形が顕著。これもやはり、とんでもない負荷によるものかと思われます。
 
 ジャンプについては、バレエのそれを考えてみると分かりやすいですが、バレエのジャンプは、飛んでいるようで実際はほとんど飛んでいません。
 足を大きく跳ね上げることで、飛んでいるように見えているだけです。スケートと決定的に違うのは、滑走速度。スケートのジャンプは、先述の通り滑走速度を揚力に変換しています。ひざを曲げて飛び上がっているようにも見えますが、実際は速度のベクトルを上方に変換して飛んでいるわけです。その為、高いジャンプ(滞空時間の長いジャンプ)をするには、速度を十分につけて飛び上がる必要があるわけです。逆に、速度を出さない限り、ジャンプで高さを稼ぐことは出来ません。そこが、陸トレでのジャンプ感覚と大きく異なる部分です。そう考えれば、陸上でジャンプ練習する場合も、速度を付けた助走が必要ともいえます。
 
 陸上競技での跳躍や投擲の最適角度は、一般的に45度が最適と言われています。以下抜粋。
斜方投射の場合の水平到達距離は,空気抵抗が無視できるとすれば,「初速度の大きさ」と「初速度の角度(水平となす角度)」で決まります。
また,水平到達距離を最大にする初速度の角度は45°であることが知られています。
 フィギュアのジャンプの場合、水平到達距離は問題にならないものの、高さについては問題になるでしょうか。速度を揚力に変える角度は、その速度が大きければ大きいほど小さくなりがちでしょうし。高いジャンプは飛んでいる間、空中に止まったかのように見えますが、速度が揚力に効率よく変換された結果でもあります。その変換効率が悪いと、高さの出ないジャンプになり、速度はそのまま水平飛距離に変換されるだけです。滞空時間はあっても、高くない冗長なジャンプとなります。
 
 さて、ジャンプの高さが跳躍力でなく、速度の変換効率だと分かったら、さてどう飛べばいいのか? ここからがフィギュアのジャンプの考察になります。
 まずトウ系ジャンプですが、これは分かりやすいです。後ろ向きの滑走から、トウを付くことで、速度が上方に変換されます。脚力が無く、速度に自信のあるスケーターは、トウジャンプに向いています。逆に、エッジ系のジャンプは、速度を上方変換するのに少々コツが必要です。エッジの(できれば)一点で、速度を揚力に変換する必要があります。トウ系と比較して高さが出にくい理由は、この変換効率の悪さにあるというのも事実でしょう。
 前向きジャンプのアクセルは、実はトウで飛んでいます。速度を揚力に変換しやすいジャンプです。
 
 着地した後は、重力を滑走速度に変換してランディングとなります。回転力は、チェック=左手・左足の振り込み+右カーブで殺します。私流の練習方法としては、特にトウ系のジャンプは「ひざを曲げ>伸ばし>曲げ」の三拍子で飛ぶと上手くいきます。このリズムで手の動き、回転力と一致させれば、綺麗なジャンプになりますね。心の中で、ワン・ツー・スリーと数える感じ。ジャンプには、このワンツースリー以外の動作は基本的にはありません(アクセルは2.5で軸を作るいうのがあるような気もしますが)。
 
 ジャンプの連続練習で息が上がる選手が多いのは、速度を出すために勢いをつけているためです。ジャンプ自体で疲れるわけではないのですね。疲れないように練習するには、助走距離を長く取り、時間をかけて加速することです。短時間で勢いをつけるより楽ですし、披露も少なくなり、結果としてジャンプの回数を増やせます。疲れれば、変換効率も悪くなります。丁寧に、回数を重ねるほうが練習になります。
 初歩の練習段階では、速度を出さないことで高さを低く抑えられます。しかし、しっかり高く飛べるように練習するのがポイント。回転速度は公転軌道と上半身の振り込みによるものなので、これは速度に関係ありません。速度が乗れば、そのまま高さになります。高さが変わると滞空時間が変わります。言い換えれば、常に同じ速度・角度で飛べば、滞空時間は変わりません。3回転ジャンプに失敗して1~2回転になっても、高さや滞空時間が変わらないのは、このためです。

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