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被写界深度の話ですよ

Posted on: 2010年6月19日

 元プロなのでその知識は当たり前に持っていますが、これを知ってると知らないとでは、写真の撮り方そのものが大きく変わります。ちょっと難しいですけど、知っておくと便利ですよ。
 
 まず、被写界深度とは? これは、ピントの合う範囲を指します。通常カメラのレンズは、ピントの焦点は1点です。それより前も後ろも、正確にはピンボケ。でもこれでは不便ですよね。奥行きのある被写体や、人物と背景など、広い範囲でピントが合っていないと、写真としては台無しです。そこでカメラには、絞りというものが付いています。扇風機の羽が重なったみたいな形状で、重なり合って真ん中に穴が開いています。この穴の大きさを調整する事で、写真の光加減を調整します。光の量をコントロールするのはもちろんですが、もうひとつ大切な機能があります。それが、先ほどの被写界深度。絞りは、開放すると被写界深度が浅くなり、レンズの持つ短焦点の特性が強くなります。逆に絞っていって、小さな穴にしてしまうと、被写界深度はぐんと広くなるのです。
 
 これは、ピンホールカメラと同じ理屈です。絞り自体がピンホールとなり、そこを通過する光だけとなるわけですが、簡単に言うとレンズの生み出すボケがキャンセルされて、被写界深度を無視して手前から遠方まで、ピントが合うようになるのです。その為、ある程度の価格以上のカメラは、必ず絞りが自分で操作できるようになっています。この絞りを開いたり、閉じたりする事によって、写真の「ボケ」と「ピントの合う範囲」をコントロールできるのですね。
 
 カメラマンの最初の一歩として、まず標準レンズで練習するのですが、標準レンズは実は大変優れたレンズです。まず、レンズの数が少なく全長も短いため、どんな広角や望遠よりも明るいレンズとなっています。レンズが明るいという事は、絞りに余裕がありますよね。望遠や広角と比較すると、絞りの自由度が高いので、意図した写真を撮りやすいわけです。また、意図的に絞って広角レンズのように撮影したり、意図的に開放にして望遠レンズのようにも撮影できる、万能レンズでもあるのです。
 プロカメラマンがまず標準レンズで練習するのは、そういう理由があるのですね。標準レンズで絞りの基本的な使い方を覚えて、広角的な撮影、望遠的な撮影を覚えれば、後に高価な広角・望遠レンズを使おうと思ったときに、迷わずにその特性を生かせるのです。
 
 言い換えれば、望遠レンズで広角レンズのように撮影するのは、至難の技でプロでも無理です。その逆も同じです。目的に特化したレンズですからね。だから、望遠や広角は使うのが難しいというわけです。高価なので、いい写真が取れるのかと錯覚してしまいそうですが、むしろ標準レンズより難易度が上がるので、初心者は失敗する傾向のほうが強いです。
 
 これが分かっていれば、標準系のズームレンズも、使うのが楽しくなります。絞りだけでなく、簡単に被写体を引き寄せたり、範囲を広くしたり出来るからですね。これと絞りの機能を組み合わせて撮影すれば、鬼に金棒。
 
 レンズで言うと、広角レンズは被写界深度が深くなります。ピントで失敗しにくいですから、コンパクトカメラは標準レンズより少し広角気味になっているものがほとんどです。望遠レンズは被写界深度が浅いです。広角と比較すれば、こちらの方が撮影の難易度がはるかに高いです。
 
 さらに、被写界深度については、焦点距離に比例する特性があります。プロカメラとなるブローニー判の中型カメラや、スタジオの蛇腹カメラなどは、フィルムの面積が大きいため、焦点距離を大きくとらなければいけません。標準レンズとされる焦点距離が、35mmだと50mmですが、6×6で75mm前後、4×5では150mmにもなります。150mmとなると普通のカメラでは、望遠ですよね。望遠レンズ並みのレンズが標準レンズとなるわけです。しかも、その望遠レンズと被写界深度は全く同じ。だから、フィルム面積が大きくなると、被写界深度も浅くなる、撮影の難易度も上がる、というわけです。ちなみに、6×6はセンチ、4×5はインチです。
 
 写真撮影の要素はこれだけではありませんね。シャッター速度、開放F値、ストロボ撮影となるとさらに面倒です。カメラマンが「光の魔術師」などと言われたりするのは、こんな知識を駆使しているからなのです。
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