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大菩薩嶺ですよ

Posted on: 2011年2月2日

 今回の登頂で、ついに2000m峰を制することとなります。順調に鍛錬を重ねてきましたから、何も心配はしていませんでした。体力的レベルで考えると、既に同クラスの山は制覇しています。踏破距離・標高差・歩行時間は経験済みで全く問題なし。つまりは山頂の標高の問題です。

 夏場であれば、標高が高くなってもそれほど、技術レベルには影響しません。精々、涼しくなる・風が強い・山によっては空気が薄い、というのが夏の高山。他にも紫外線が強い、天候が変化しやすいなど、高山特有の難しさはあるものの、やっぱり冬のそれとは比較になりませんね。何せ冬は、1500mを越えたあたりから、冬中雪が残っているのが当たり前の世界になるから。しかも、標高が上がるごとに、その量もどんどん増えていきます。2000mともなれば、真冬の積雪は10cmを軽く越えます。まあ、山にもよりますけどね。

 さて、これまでの1700mクラスでも、雪は体験していましたが、2000m級の雪とは比較になりません。今回それを体で知ることができました。

 大菩薩嶺はあまり知られていないかも知れません。むしろその稜線にある大菩薩峠の方が、圧倒的な知名度を誇ります。同名の小説をご存知の方も多いでしょう。未完の大長編小説ですが、読んだことがない人でもこの峠の名前くらいは耳にしたことがあるかと思います。
 山の方は、日本百名山にも含まれる名峰なんですが、漢字が難しいし「だいぼさつれい」なんて言われても、普通の人は山を連想しないかもですね。

 その大菩薩嶺、標高2057m。山梨の甲府盆地からよく見えます。盆地の東に、そそり立つようにそびえる名峰です。登山口は旧塩山市(今は甲斐市?)の裂石というところにあります。ここは有名な温泉地でもあり、アルカリ度の高いお湯が沸いています。

 朝5:00に車で中央道。勝沼で降りて塩山へ。裂石に直行し、登山口を目指します。車を丸川峠登山口駐車場へ。冬は林道が通行止めになります。春~秋なら林道を行けば、山小屋の駐車場を利用できるのですが、まあ仕方ないです。到着は6:40。10分程度で支度をして、丸川峠を目指します。

 今回は、大菩薩の峠道を登らず、丸川峠から登るルート。その理由は…。鷹ノ巣山と実は同じ。眺めのいい稜線を「登る」のでなく、「降る」ルート。眺めがいいのはもちろん、登る時ではなく、降りる時。上ばかり見ながら進むのと、降りながら大きな空と眼下の景色を楽しむのとでは、趣が全く異なります。険しいルートは登りはともかく降りは苦痛ですしね。なので、これは私の好みですが、急登緩降がやっぱり楽しいです。今回のルートも、それに沿った形で考えました。

 丸川峠の道筋は、何だか檜洞丸を思い出しました。沢沿いで砂防ダムが大きくそびえている事、岩がゴロゴロしている事、這うような急坂がいくつもある事など、そっくりですね。確かに似ているんですよ。なので、まるで前に一度登ったかのような感覚。全く問題なしでした。ガシガシ登ります。

 2時間ほど登ると、林が切れて草原に。おお、これは鷹ノ巣山のような雰囲気。風が少し強くなります。やっぱり似てますね。丸川峠に到着です。ここには丸川山荘があるのですが、無人。冬の平日は営業してないみたいですね。ここの標高は1600m弱。草原の上の方には雪が。来ましたね。写真撮影を終えて、4爪の軽アイゼンを準備します。

 4爪にした理由は、岩場などで頻繁に取り外しがあるかも知れないという懸念から。6爪も持参していましたが、まずは4爪の実力を検証してからと考えました。初めてのアイゼン体験。取り付けはフックを引っ掛けるだけ。

 つけてみると…。凄い!雪にザクザク爪が刺さって滑りません。これはいいですね! これまで、凍った坂でツルツルしながら慎重に登っていたのが、嘘のようです。しっかり登れます。4爪は一般的に、横滑りしやすく踏み込みにくいと言われていますが、私には全く問題なかったです。これはスケート技術によるものなのですが、それについては後で語ります。

 アイゼンの刺さる音も軽快に、あっという間に大菩薩嶺の山頂。やった~……。ヽ(・。・)ノ ショボイ山頂。あれまあ、ベンチもないし、展望も皆無。七跳山みたい。ちょっと悔しいので色々写真撮ったり。積雪は10cm強。

 まあいいや、本当のお楽しみはここから。この先を少し降ると稜線に出ます。そこからが360度パノラマビューなのです。

 …。おお…。鷹ノ巣山の石尾根みたい。いえ、もっと凄い! まずいきなり現れたのが雷岩。でかい岩。標高もあるので岩の上から眺めを楽しみました。しばらくして富士山が! 少し顔を出してきました。でかい……。檜洞丸よりも大きいかな。いわゆる山梨側の「男富士」。綺麗です。

 嗚呼、なんて開放的な景色なんだろう。甲府盆地がまるで手のひらで作った器のようです。手前には上日川ダムの人造湖。そしてその向こうに富士山。山水画のような、あまりにも壮大で、かつ極めて整った、絶景ですね。なるほど……。人を魅了する訳が、少しわかったような気がします。

 ここから大菩薩峠まで、ずっと雪の稜線。途中の岩場でアイゼンを外したりもしましたが、それもまた楽しみかな。4爪だから着脱も楽チンです。賽の河原を過ぎてまもなく超有名な大菩薩峠に到着。おお、山小屋だ。名前は介山荘。改竄ではありません。でもやぱり無人。

 介山荘の隣に、トイレ併設の市営?休憩所がありました。ここで早めのお昼ご飯にしました。時間はまだ10:30。ストーブを休憩所の入り口外で焚きます。中は火気厳禁ですが食事はOK。カップめんと味噌汁、おにぎりなどを準備して待機。さあいただきまあす。

 ぼちぼち休んで早々下山です。じっとしていると寒いんですよ。幸いここは小屋もベンチも休憩所もあるので、しのぎ易いんですけど。ちなみに気温はマイナス12℃。寒くない訳がないです。お味噌汁もあっという間に冷めました。おにぎりが冷たいし。

 ここで大教訓。鳴り物入りで導入したハイドレーションシステムですが、決定的な弱点。水が凍ります…。チューブ内も吸い口もアウト。かろうじてボトル内はザック内なので凍っていませんでしたが、冬の高山では全く無意味と悟りました。腰につけたペットボトルの方がはるかに便利でした。

 アイゼン装着のタイミングが大体標高1800mだったので、そこまでアイゼンを付けて降ります。この道は林道で、車のわだち部分が雪が硬く凍っています。そこは危険なので歩けませんね。ガンガン降りていくと、今日初めてのハイカーとすれ違い。カップル?でした。1800mを過ぎると雪が大分少なくなります。アイゼン収納。それにしてもアイゼンは楽しかったです。

 いくつか山小屋を通り過ぎましたが、すべて休業。林道と登山道が選べる快適下山で、途中代わる代わる両方の道を楽しみました。登山道はかなり凍結していて危険かな。この時期は林道が安全かも。でも雪がない1700m以下では登山道の方が歩きやすいし距離も短いです。

 てくてく歩いていくと、13:00前には駐車場に到着。早いなあ。朝が早かったからか。

 さて、雪道とアイゼンの話。
 はっきり言って、アイススケートをやっている人なら、4爪で無敵です。そもそもスケートは、滑る技術なんですが「転ばないための技術」でもあります。氷の上なんて、当たり前の世界なんですよ。滑って当然。だから、与えられた道具で如何に転ばずに、前進する力を得るか。これが、物凄く効率がよく、かつ安定した、踏み込みになるわけです。

 これを知っているから、4爪アイゼンは土踏まず部分にフラットな加重をかければいいと、すぐに判断できます。また横滑りしやすいのもすぐに把握でき、スケートで言うフラットエッジに徹すればいいとも認識できます。今回の雪中行軍で、ますますスケートの有効性が見えました。
 雪の上に残された足跡を見ると、つま先が滑った跡がたくさんありました。この人は恐らく、つま先蹴りで前進していたのでしょう。これでは、安定した蹴りになりませんね。登山では「足裏全体を使って歩く」と言います。ひざ下の使い方がスケートとほとんど同じ。なぜそうなのか? スケートの刃と氷の関係を思い浮かべれば、すぐ答えが出ます。スケートも、つま先で蹴ったり、かかとで踏み込んだりなんて、しないんですよ。刃は基本的に常に氷と平行です(厳密な支点は考えないでね)。だから、同じと言い切れるんです。

 しかも、氷の上で転ばない技術が、そのまま役に立ちます。これは何も雪だけではありません。砂の浮いた斜面や砂利道、ぬかるみ、木道など、あらゆる所で役に立ちます。トレッキングで転びにくい安定した足捌きを身に着けたいなら、断然スケート。スケーターが臨機応変のパワーのある足捌きやスタミナを鍛えたいなら、断然山登り。私流の、ゆるぎない確信。もはや絶対的な法則です。

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