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北岳に来ただけですよ

Posted on: 2011年8月17日

 北岳。日本第二の高峰で3,193m。南アルプスと呼ばれる山塊のど真ん中に位置していて、山深くアクセスも悪いです。とにかくそこに行くまでが大変。そんな山の中にあるため、普段暮らす街中から山の様子を見ることも、ほとんど出来ません。辛うじて、場所によっては山頂だけ見えるところもありますが、それも限られますし、山全体の様子などは絶対に見えません。日本第二位でありながら、あまり知られていないのは、そんな秘境的な存在だからですね。もちろん、山を楽しむ方々ならよく知っているでしょうけど。

 南アルプススーパー林道を23kmも入ったところから登ります。しかも一般車は通行禁止。途中からバスかタクシーに乗り換えます。南アルプス市の芦安に広大な無料駐車場があり、ここが公共車両の中継基地になっています。私は乗合タクシーを使いました。10人乗りのワンボックスタクシー。9名の乗客を乗せて、登山口の広河原に向かいます。料金は1000円。道路の維持管理料100円を合わせて、片道1100円。バスも同じ料金です。行きはゲートオープンの時間に合わせて進むので、バスと同じ時間ですが、帰りは乗合タクシーがお勧め。9人満車になると発車しますし、バスより速度が出るので早いです。

 広河原到着は、6:11。多くの登山者が、登山道に流れ込みます。各々のペースで山頂を目指します。このルートは沢が多く、水の上を飛び石で進むところもあります。岩の上を走る清水は、どこも冷たくて美味しいです。まさに、南アルプスの天然水。ペットボトルに入れて持ち帰れば、そのまま売れます(笑)

 山頂付近にガスが掛かってきました。残念ながら、今回は眺望を期待できません。鳳凰三山など他の山は晴れているのに。高いからこそ、雲に包まれやすいとも言えますね。むしろ今回は眺望を期待していませんでした。眺望を取るなら甲斐駒ケ岳か仙丈ケ岳と考えていましたし。甲斐駒から八ヶ岳を見てみたいですね、今度は。

 山の規模としても富士山に次ぐ高峰ですが、裾野が富士山のように広くなく、むしろ勾配は遥かにきついです。切り立った崖を擁する急峻な峰。、日本で最も高いところにある岩壁は、北岳バットレスという、岩の峰。標高差は600mあるといい、その高さは高尾山に匹敵します。その脇を登っていくという、そんな厳しい道のり。沢には残雪もあります。途中からは、手すりの付いた木のハシゴが連続。難易度自体は高くないですが、空気の薄さと相まって、一歩一歩がつらいです。

 何とか稜線にたどり着きました。八本歯のコル。後ろには八本歯の頭。崩れかけたハシゴが見えます。登れるのでしょうか。かつての北岳の登山ルートは、この八本歯を超えるものでした。広河原までの林道が開発されていなかった時代ですね。今みたいに、簡単に日帰りできる山ではなかったんですね。いえ簡単というものでもないですが。

 ガスの中を進んでようやく山頂到着やった~ヽ(^。^)ノ これで今夏の目標達成です。何も見えない中、山頂の標識だけが、その達成感を讃えているようでした。酸欠で食欲も薄く、カップラーメンは持参したものの、富士山の経験からキャンセル。おにぎりとコーラ缶で軽くお昼ごはん。山頂の気温は20℃くらいですが、風があって体感温度は低め。コーラは、SnowPeaksの缶ごと冷やせるボトルで持参しました。冷たいコーラが美味しい!ですが、このボトル重いんです(T_T) チタン製のもあるのでそれにしようかと思うのですが、これが高い…。難しいものです。

 さて、ガスの山頂を充分に満喫して下山。稜線の山小屋を目指します。と、ここで大ハプニング。

 稜線の小屋はいくつかあり、思いっきり勘違いをしてしまいました。本来目指すのは「肩の小屋」ですが、向かってしまったのは「北岳小屋」。この間違いに気付いたのは、北岳小屋の近くでした。その場でGPSの地図を確認。間違いなく、広河原には戻れません。Uターンするしかありません。視界が利いていれば、南北はもちろん間違えなかったでしょう。初めての山ながら、人も多く道もしっかりしている、道標もちゃんとある、そんなところから安心し切っていたのでしょう。せめて山頂で、地図を確認するべきでした。そして、視界が利かないことの怖さを痛感しました。どんなに慣れていても、誰でも、必ず道に迷うものなんですね。それを防ぐのは、地図とこまめな位置確認。それしかありません。

 地図を見ると、山頂の巻き道(トラバース)がさっきの八本歯のコルまで付いています。これを行けば、登って来た道を引き返せそうです。予定の白根御池はキャンセル。これは次回のお楽しみにとっておきます。しかし、本当に間に合うのか? 最終バスの時間は17:00。これを過ぎたら、何らかの形で一夜を過ごさなければなりません。山小屋の素泊まりを考えましたが、それを決めるとなると今しかない。完全に諦めた場合の選択で、これはちょっと渋い。2日分程度の非常食はありますが、基本的には日帰り装備。とりあえずトラバースを急ぎます。

 トラバースで、通りすがりの方々に声を掛けられました。「この時間なら大丈夫だよ」と言って下さいました。下山の足の速さには自信がありましたが、道を間違えたことの焦りは隠せません。とにかく急ぎ降ります。この時、時間は12:30を回っていました。

 安心したのは、ガスを抜けてからでした。ちょうどハシゴの途中辺り。その時点で13:00過ぎ。4時間あれば大丈夫だと、経験と地図が教えてくれます。高尾山の下山ランニングなどの効果も、もちろんありますね。順調に下山できました。途中の沢の水が、心も体も癒してくれます。

 登山の登りは、体力。降りは、技術。もちろん体力も必要ですけど、決め手になるのは技術ですね。登りであれだけ疲れていたのに、快適に下山できるというのも面白いものです。登りの体力というのも、筋力や単純な持久力でもないです。肺活量や心臓機能。この心肺機能こそ、登りの決め手になる要素です。この2つはほとんど係わりなく、また他のスポーツなどで鍛えることも難しいように思います。単純な心肺機能トレーニングとして、エアロビクスや水泳、ジョギングなどが挙げられますが、残念ながら空気が薄いことを前提には鍛えられないんですよね。それが可能であれば、マラソン選手が高所トレーニングをする必要なんて、ない訳です。高所トレーニングをすることで、酸素不足を乗り越える能力を高められます。逆に、地上のトレーニングでいくら頑張っても、その要素を引き出すのは難しいでしょう。結局、山に登るしかないんですね。

 無事に広河原に着いたのは、16:00でした。乗合タクシーに乗って芦安へ。

 道迷いの経験は、望んで出来るものではないだけに、とても有意義な体験でした。視界もなく、写真撮影も儘ならず、予定のルートにあった白根御池を見ることも出来ませんでした。これはむしろ北岳がくれた、次回への誘いだと思っています。また来よう。北岳の魅力は尽きません。

 それから、富士山に登ったから今度は北岳に登ろう!と、安易に考えないほうがいいでしょう。富士山とは比較にならない難易度です。不測の事態を想定しなくても、充分な山登り経験が必須です。経験則では、奥多摩の稲村岩尾根、丹沢表尾根の2倍以上のきつさです。それでも登ってみたいとお思いなら、2000m程度の山で確実に経験を踏むことを切に願います。私は何とか登って来れましたが、これでも尚、初心者の領域と心得ています。そのくらい山は、厳しく、難しく、恐ろしいものでもあります。
 と、少し脅かしておきます(笑) だからこそ、それを乗り越える楽しさは他に変えられないし、誰でも簡単に出来ることではないからこそ、その景色を眺められるのは特権なんですよね。ただの高さとしての優越感ではない、不思議な感覚。それが登山の魅力と思います。

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コメント / トラックバック2件 to "北岳に来ただけですよ"

>山の規模としても富士山に次ぐ高峰ですが、
・・・ですよね。標高3193m、おいそれとのぼれる山ではありません。昔から
あこがれていますが、とても無理とあきらめています。遠くから眺めるだけに
します。

今回その麓まで初めて近づいた北岳ですが、
朝日に照らされた勇姿も素晴らしかったです。
立派な山は見るだけでも愉しいですよね。
山登りを始める前は、写真に撮るのも好きでした。
今は登るのが優先されちゃってますけどね(^-^ゞ

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