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しばらく単独行に勤しみますよ

Posted on: 2014年9月10日

 ここ二年ほど、複数名での登山が多くなりました。会話しながらメンバーと共に山に登るのは楽しいんですが、今になって気付くことが沢山出てきました。雨続きの今夏の影響もあるんだとは思いますが。

 多人数での登山が続いたためか、一人で山に行くことに対し、これまでにない恐怖のようなものが出てきました。これは多分、複数名で登っていたことによる、安心感の裏返しなんでしょうね。一人で登るのが当たり前だった初めの頃には、全く感じませんでした。一人でできることの限界を常に認識しながらの登山ですから、そのボーダーを超えないことが一種の保険だったのです。他のメンバーと一緒になると、そのボーダーはメンバーの最低ラインに引き直されます。つまり、自分の限界を超えることなどなくなってしまうのです。さらに、それは自分自身の持つボーダーを認識する必要さえなくしてしまいます。それに気付いたのはついさっき。

 今年の夏の目標が秋になってしまいましたが、今年は鳳凰三山を目指しています。山慣れした人なら大した目標でもないでしょうけど、何故か私にとっては少し重かったんですね。なぜ重いのか、その理由はよくわからなかったんです。今回も、誰かを誘うかどうしようか迷っていたんですけど、やっぱり一人で行こうと決めた瞬間。久々に味わう戦慄が奔りました。……そうか。すっかり複数名での登山に慣れてしまい、単独行の楽しさを忘れていたんですね。

 同時に、先に書いた恐怖がジワジワと湧いてきました。これまで複数名で登った山は、その殆どが「経験済み」の山です。ルートも何も全て知っています。必要な装備や体力、行程の時間計算まで出来ています。さらに、メンバーの力量も把握していますから、どこにボーダーがあるか、どこからが危険かも、空から見下ろすようにわかるんですね。でもこれは、メンバーにとってはガイドという保険によって得られる安心に過ぎず、本来の冒険とは程遠いものではあります。
 戦慄とは、そういうものです。私が登山にのめり込んだ最大の魅力といえば「未知との遭遇」が随一です。何が待っているかわからない、それは素晴らしいものであると同時に、危険でもあります。その表裏一体の未知との遭遇が、最大の楽しみだったんですね。物凄く楽しみだし、物凄く恐ろしい。この感覚をすっかり忘れていました。

 最初の一年は特に、この未知との遭遇が楽しすぎて、次々と登頂していました。そうやって紐解いた登山の楽しみを最近は複数名で味わいましたが、それは私の最初の感動をなぞっただけの話です。そう、これは単独行で得た結果に過ぎないのです。

 それでも山は、いつ登っても違う表情を見せますから、全く同じというわけではないんですけどね。しかしそれは、未知との遭遇ではないんですね。

 そして思い出しました。この恐怖こそ、自分の命を守る、命綱だと。怖いから、あらかじめ調べるし、装備も怠りなく準備する。どんなに完璧に準備しても、怖いものは怖いです。自分の限界を悟れば、撤退する勇気も必要です。この感覚、特にボーダーを認識する必要性は、単独行でなければ得られません。その上で楽しみを享受する。そんなスパイスがあるから、たった一人で山頂に立った時の喜びも格別なんですね。
 初めて登った北岳を思い出しました。雲の中、何も景色が見えないのに、あの頂上に立てた喜び。下山で道を間違え、大きくルートを外れました。そうした恐怖は悪い思い出なはずはなく、むしろ大切な経験です。それはボーダーを認識しそれに近づくことでしか得られません。そうやって果敢に挑み続けることで、そのボーダーをより高く、遠くに持っていけるものなんですね。

 鳳凰三山。定番の登山ルートですが、何せ久しぶりなので体力には若干不安がありますね。無事に登頂できることを願いつつ。

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コメント / トラックバック4件 to "しばらく単独行に勤しみますよ"

はじめまして。
私も同じように日帰りでドンドコ沢~中道を辿った思い出があります。
その日はくたくたに疲れました。
こんな記事を拝見してとても懐かしく、思わずコメントしてしまいました。
貴殿はたまたまガスっていて視界が悪く高嶺の方に向かってしまわれたようです。
私の所属している山岳会は毎年読図山行をしていますが、遭難の40パーセント以上が道迷いなので、地形図、コンパスはやはり命を守る必須用具ですね。

初めまして、コメントありがとうございます。
道迷いはどんなに注意していても、する時はするものなんでしょうね。
地形図コンパスは勿論、GPSまであるのに迷うのですから…。
迷ってもすぐ気がつく、問題なくリカバリできる事が大切なんだと思います。誰でも必ず遭難するものと考えれば、遭難しないための対処法をしっかり身につけること。これに尽きるとつくづく思います。

釈迦に説法でしたね。
貴殿の場合、問題が発生する以前に対処する能力を持っておられるので、余計なお世話ではあったかと思います。
これからも貴殿のレコを楽しませてください。
こちらこそコメントありがとうございました。

いえいえ、無事に帰れたとはいえ、最善の選択だったとは思っておりません。
連休中に北アで遭難事故があったようですね。仰る通り、視界が利かない中での道迷いは誰にでもありますね。
拙い山行ではありますが、お気軽にコメント下さい(*^^*)

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