KunadonicLiveSpaceSystem

Archive for the ‘富士山頂を目指そう!’ Category

image

登山を始めてもう5年くらいになりますね。目標だった富士登頂はいつしか思い出になり、二度三度と重ねて毎年の行事のようになってきました。自分が登山を始めた原点でもあり、思い入れは格別。幾度か登頂を果たしながら見えてきた、富士山の深い魅力。

image

今回登ったのは、現在一般的に使われている4つの登山ルートの中では最も厳しいとされるルート。御殿場口ルートです。そもそもこのルート、明治の頃に作られた比較的新しいルートです。歴史は浅いのですね。中腹部分が広大な砂地になっていて、その間に山小屋を建てることが困難だったためでしょうか。現在、新五号目として開かれている登山口は、かつては二合目でした。

image

二合目なのになぜ五合になったか。それは恐らく、富士スバルラインや富士山スカイラインの開通により、五合目からの登山が一般化したためでしょう。富士山の登山口としては五合目でないと、集客が悪化してしまうということですね。苦肉の策で、それまでの二合目を新五合目としたわけです。

image

それでも最も厳しいルートであることに変わりはなく、次第に廃れていきます。その変遷は、閉鎖された山小屋の廃屋からも見てとれます。吉田口と富士宮口が賑やかになる傍らで、次第に人が少なくなっていったのでしょうね。

image

確かに難易度の高さを考えれば仕方ないことですが、それでも尚愛され続ける登山道に変わりはありません。不人気といいがらも、登山シーズン中にはのべ1万人以上がこのルートを利用します。
ただ多くは、下山のみですね。他のルートから登り、下山でこのルートを使うという新傾向が近年多く見られます。交通機関の発達と同時に、マイカー規制も理由のひとつです。ここ十年来は、マイカー登山が多かったでしょう。そうなると、登山ルートは自ずと往復になります。しかしバス電車であれば、登山口と下山口を変えることが可能になります。往復する必然性がないのです。

image

この御殿場口ルートの最大の特徴でもある、下山ルートの「大砂走」は特に人気です。標高差1400mを一気に駆け降りる、他の山では絶対に味わえないダイナミックな下山ルートです。

鈴木ともこ氏の著書「山登りはじめました」で紹介されているルートが、吉田口から登り御殿場口に下山するルートでした。この本で広く知られるようになったのも、間違いないでしょうね。

山登りはじめました _めざせ! 富士山編 (メディアファクトリーのコミックエッセイ)

富士山の4つの登山ルートは、それぞれに特徴があります。
最もメジャーな吉田口ルートは、東日本の玄関口で、関東からのほとんどの登山者がこちらを利用します。富士急行線や中央道でのアクセスに優れ、都心から2時間程度です。山小屋が最も充実している点でも、利用しやすいですね。古くは富士吉田を起点とする富士講で賑わった、歴史のあるルートでもあります。
次にメジャーなのが、富士宮口ルート。こちらは関西方面からの玄関口ですね。標高差が最も少ないルートとしても知られています。
そして私の大好きな、須走口ルート。このルートは樹林帯から始まる変化の豊かなルートで、下山ルートに砂走もあります。富士山の色んな姿を一度に楽しめるルートですが、先の2つのルートと比べて五合目が若干低いため、登山の難易度は少し上がります。富士山に慣れた方向けのルートですね。

image

登頂ルートとしてはこの4つに限られますが、実は古くから存在する古道が多数あります。廃れて久しいものもあります。各所の五合目を繋いで富士山を一周するお中道に、頂上の噴火口を一周するお鉢巡り。現在はスバルラインにその座を譲った吉田口の一合目から五合目。吉田口より古いとされる船津口。精進湖から樹海を抜ける精進口。須山浅間神社を起点とする須山口に、平安時代にまで遡り明治の廃仏毀釈によって衰退した村山口。

これらは全て、世界文化遺産に登録されています。信仰の対象としての富士山、その歴史を今に伝える貴重な古道です。

image

富士山の楽しみ方は多様ですが、見て楽しむだけでは本当にもったいないですね。頂上を目指さなくとも、古道を巡ったりするのも楽しいです。五合目を目標にすれば、高山病を避けることもできますし、日帰りで手軽な富士登山を積雪期以外いつでも楽しめます。

富士山は、数ある魅力においても日本一ですね。

image

広告

富士山を目指して、およそ1年近く山行を重ねてきた友人との行脚も、いよいよその目標に到達です。来週末、天候に恵まれれば、富士登頂を決行します。

普通は恐らく、ここまでの鍛練はしないでしょう。むしろ、体力より心肺機能の問題ですね。なので、ランニングを重ねる方が恐らく効果的だし、達成率も高いです。しかし私は、敢えてその選択をしませんでした。何故なら富士山頂は目標かもしれませんけど、ゴールではないからです。謂わば、中継地点です。

本当に知ってもらいたかったのは、登山そのもの。富士山を目標に据えたのは、素人にも分かりやすい、表現は悪いですが「餌」に過ぎません。富士山を目指す上で、日本一高い標高なのだからと、少しずつ標高を上げながら山を制覇していって、丁度1年後に富士山の高さになるように登っていこうと、プランを立てました。その地道な積み重ねの結果、本来目標であった富士山のことはともかく、計り知れない山の楽しみを味わうこととなります。最早、富士山なんてどうでもいい、うーんどうでもいいわけじゃないですけど、それに固執することもないでしょう。登れないかもしれません。天候に恵まれないかもしれません。それでも、それが山の天気。山というものです。今回ダメでもまた登ればいい。そう思えたなら、かなり山を知り得た証かもしれないなと。

私はただ、山の道案内をしただけ。一緒に登りたいから誘っただけです。そこから何を得たかは、本人のみの知るところ。自然界の抱える過酷な現実、厳しくも優しい自然の掟、自分自身の体と心と向かい合い、困難や不測の事態に対処する心構え、体が自由に動くこと、食事が美味しく食べられることへの自然な充足感。そんな思い出が、富士山に登ることで一気に思い出されるはず。

富士山に登れば、雲さえなければそれまで登った殆ど全ての山を、眼下に確認することができます。ただ山の名を知っているだけでなく、そこに数々の思い出が含まれます。

私の場合ですが、その膨大な情報量の思い出に圧倒され、しばらく呆然と下界を眺めていました。それはここに辿り着くためだったかもしれない。多くの山頂で眺めてきた富士山に、今登っている。快晴のもと白く輝く姿だったり、雲を携えていたり、傘を被っていたり。ダイヤモンド富士という有り難い光景も目にしました。そんな思い出と一緒に登っているような、不思議な感覚でした。

今年は天候が安定せず、なかなか読むのが難しいのですが、基本的に例年より早め早めで考えています。混雑回避のためにも、時期をかなり早めに設定しました。

どんな富士山が待っているかは、全然わかりません。だからこそ楽しみだし、別にどんな富士山でも受け入れられる。山なんてそんなものだから、期待に添えなかったら、また登ればいい。

そんな山の神様の気まぐれも、これまで教えてきたつもりです。私自身は二度目の富士登頂ですが、本当に楽しみです。

富士山は日本の山としては珍しく、四季の変化に恵まれない山ですね。梅雨時に一気に雪が溶けて、梅雨明けと同時に夏を迎えます。そろそろ紅葉シーズンかと思われる頃、一気に雪山となります。この短い夏の間だけ、普通の人でも気軽に登れる山となります。この山は、正直に言うならかなりつまらない山なんですよ。登ったところで下界は見えても、判るのはせいぜい富士五湖とか海とかその程度。植物も少なく、岩場のようなアスレチックなノリもなし。ひたすら砂漠のような、延々と続く坂道を5時間以上かけて登るだけ。

でもそれが、楽しみなんですよ。何故でしょう?(笑)

それこそ、山の楽しみなんですよね。山は、ひとつ山じゃない。いろんな意味で、みんな繋がってるんですよ。どこがどう、どんな風に繋がっているのかは、是非あなた自身の目で、足で、確かめてみてください。その繋がりは、登った山の数だけ見つかるはずです。

富士山の世界遺産登録が決定的になったようですね。恐らく自然と信仰に関わる形だと思いますが、いずれにしても富士山の環境保護がより強化されるなら、それは望ましいことでしょう。いつ噴火するかもわかりませんが。

さて今回は、万が一の非常用装備です。非常用ですから、通常用いることはまれか、滅多にないか、そんなものです。でももし、それがなかったら大変なことになる。そういう類いの装備ですね。

レインウェアに近いような、雪山ならアイゼンや防寒手袋などもその類いではありますが、雪のない夏山なら、アイゼンなんて何の意味もありませんね。そういうオプション装備でなく、もっと基本的な装備です。

まず、地図。
道迷いはどんなに慣れた山でも、その可能性を孕んでいます。大雨の後に道が大きく変わっていたりすることは珍しくありません。藪漕ぎや霧の中など、不明瞭な道を進む場合は当然のことですが、何らかの理由で道が不明瞭になることも充分にあり得ます。道迷いの際は、わかるところまで引き返すのがセオリーですが、道そのものがないとしたら、地図を頼りにする以外ありません。

遭難は概して、地図を持たない山行という、およそ登山では考えられない凡ミスで発生します。地図はいかなる山においても必須です。高尾山でさえ、道迷いは頻発しています。

最近はスマートフォンで使える登山用のGPS地図ソフト「地図ロイド」がとにかく便利です。これと、GPSロギングアプリの「山旅ロガー」と連携でき、国土地理院の地形図に、リアルタイムで現在位置を表示、追跡が可能です。下手なGPSを持ち歩くより便利で高性能ですね。
もちろんGPS含め、そうしたデバイスを活用するのは大いに結構ですが、バッテリー切れや故障も想定し、紙の地形図も合わせて携行するべきでしょう。当然、コンパスも必須ですね。シルバコンパスでなくとも、キーホルダー程度でも構いません。

続いて懐中電灯。
街灯が一切ない山道では、ライトが必須です。山中で日が暮れてしまったら、ライトなしでは歩くことさえできません。夜明けを待つはめになります。そうなると、ライトどころの騒ぎではなくなります。ライトが一つでもあれば、夜道を無事に歩けます。

登山でよく使われているのは、LEDの小型のヘッドランプです。ハチマキ状のベルトが付いていて、おでこに装着します。両手が塞がらず、険しい道でも安心です。首から下げるストラップタイプや、帽子に装着できるクリップライトもお勧めです。
ちなみに電池切れを想定するなら、予備の電池を持ち歩くより、ライトを2つ持っていくのが正解です。何故なら、1つでは電池を交換している最中、真っ暗になってしまうからです。ライトが2つあれば、電池を交換するのも容易いですし、何より安心感が倍以上です。LEDライトはかさばる装備ではないので、私は2つ携行するようにしています。

携帯電話・スマートフォンもいざというときにはライトの代わりにはなりますが、あてにはできません。夜になる頃にはバッテリーも減っているはずですし、いざというときの通話のための電源を確保しておきたいので、やっぱり電池は温存するべきですね。

怪我をした際に使うものとして、消毒薬や絆創膏なども、もちろんあった方がいいですが、破傷風の心配をするなら、持参した水道水で傷口を洗う手もあります。出血がひどい場合などは、絆創膏では役立たずです。その場合は、タオルなどで止血をします。タオルマフラーなどを首にかけておけば、こうした事態にも対応できます。

骨折の場合は、トレッキングポールがあれば、添え木として使えます。これらは非常用装備ではありませんが、そうした使い方もできると覚えておけば、役に立つかもしれません。

山深く、道迷いの危険がある夜道や、すでに夜道で迷ってしまった場合などは、夜が明けるまでビバークすることも、ないとは言い切れません。ツェルトという非常用の簡易テントがあれば、夜露を凌ぐことができます。ツェルトがない場合は、残念ながら野宿です。
その場合の心得を、一応書いておきます。ない話ではないですからね。

気温にもよりますが、一般に山の夜は夏でも冷えるので、持参した全ての衣類を着込みます。レインウェアもあるなら着た方がいいです。地面や岩の上に直接座ったり寝たりすると、体温を奪われます。エア座布団があればそれに座るといいですが、ない場合はザックの上に座ります。とにかく地面や岩場が直に触れないようにしてください。いわゆる三角座りで体を丸めて、体温が下がらないようにします。稜線などは風が強いですから、なるべく風の吹かない場所で過ごします。

体温が確保できていれば、寝ても大丈夫ですが、少しでも寒いと感じたら危険なので、とにかく体温が下がらない場所、方法など知恵を絞り出してください。

明るくなっても、現在位置がわからないなら、無闇に動くと危険な場合もあります。来た道をわかるところまで戻るのが大原則ですが、既にそれすらわからないのであれば、なるべく高いところを目指してください。人里や道路を期待して、山を降りるのは得策ではありません。深い谷や沢にはまったり、崖っぷちに行き当たったり、行動がますます困難になるばかりです。安全で、救出される可能性が高いのは、山の稜線です。上空から発見される可能性も高いです。

低山でツェルトは過剰装備かもしれません。そんな場合でもエマージェンシーシートなら体を包んだり、雨風をある程度は凌げます。ないよりは、絶対あった方がいいです。

免許が必要ですが、アマチュア無線機などは遭難時にも役立ちます。携帯電話も多くの山で使えるようになりました。使わないに越したことはありませんが、使える状況であれば使うべきでしょう。いずれも、これで絶対に助かるというものではないので、過度の期待はできません。しかし、ないよりはマシです。

と書いてみると、絶対安全などという装備は、そもそもないということですね。道迷いも遭難もビバークも怪我も、全て想定される事態です。想定されるのだから、それに備える。それが、最低限の非常装備ということになるでしょう。恐れすぎる必要はありませんが、しかしその対処を必要とする心構えこそ、必須の装備と言えるかもしれません。

その心の準備が、リスクを未然に回避する一番の装備かと、思う次第です。

さて、今回で一応連載企画は終了です。
不定期で、新たな話をするかもしれませんので、その際はまた、よろしくお願い致します。ご愛読ありがとうございました。(*^^*)

今回は、高尾山の次の山と題してみます。

高尾山から、とりあえず奥高尾の陣馬山まで登り、さて別の山に登ってみたいなと思った時。高尾山周辺で同じ程度の標高差、楽しめる山などをご紹介します。その前に、高尾山の特殊性について語っておきたいと思います。

昭和30年代の登山ブームの頃は、ある程度知れた山なら大抵、山頂には茶店があったりしました。東京なら、浅間嶺に川苔山など、今ではお店など跡形も無い山にもありました。それが今でも大繁盛し続けている山が、高尾山から陣馬山までの、いわゆる奥高尾山稜です。高尾から始まり、もみじ台、小仏城山、景信山、明王峠、陣馬山と、至れり尽くせりです。かつては小仏峠にも茶店がありましたね。

価格にプレミアがついていますが、食事や飲み物に困ることはありません。高尾山槐は食事を持参しなくとも現地調達できますね。

これは、山小屋の整備された人気のある山なども含め、かなり例外的です。山は基本的に、お店などありません。こうした店舗が整備されているのは、ケーブルカーやロープウェーなどが整備されている、観光地化された山に限られます。山小屋があったにしても、行動食や携帯食などをも依存するには些か無理があります。富士山も基本的には、食料を携帯するべきです。山に登る際は、非常用の食料も考え、原則として持参します。この高尾山の常識で以降の山を考えないように、ご注意下さい。

さて、まず高尾山近辺で同程度から、それなりに楽しめる山をご紹介しましょう。

●石老山
 IR高尾駅の次の駅、相模湖駅から登ります。高尾山と同じく、寺院の境内と渾然一体のいわば霊山です。周囲10mを超える巨大な岩が見所で、相模湖を一望できる眺望も期待できます。コースを相模湖のダムから歩けば、低山ながら自然豊かな相模嵐山を経由して縦走できます。帰りは歩いてもOKですが、バスもしくは、相模湖を渡し舟で渡るという他にはない楽しみ方も出来ます。

●岩殿山
 JR大月駅からすぐ。巨大な岩場のある低山ですが、かつて山城としての栄華を誇っていました。史跡、難所、眺望の三拍子が揃った楽しい山です。途中の兜岩の鎖場はスリルたっぷり。

●仏果山~経ヶ岳
 神奈川県の新たな水瓶、宮ケ瀬湖の東に位置する山塊。展望台から宮ケ瀬湖を一望でき、その向こうに聳える雄大な丹沢が素晴らしいです。

●御岳山~日の出山
 ケーブルカーのある観光地ですが、高尾山同様登山者の人気も高くてルートも豊富です。日の出山は眺望が素晴らしいです。

●大岳山
 この山のルートも大変多く、難易度の高目のものもありますが、御岳山から続けて登るのが最も手軽でしょう。そういう意味では気楽に挑戦できる山です。そして何より、東京で最も目立つ山だけに、他の山から大岳山を簡単に見つけられることから、印象深い山となるでしょう。

●川苔山
 奥多摩の人気の山ですが、少し奥まったところにあり、ある程度足に自信がついてからが良いかと思います。百尋の滝や苔生した川の源流など、優美な自然を堪能できます。

●塔ノ岳
 丹沢で最も人気のある山でしょうね。ヤビツ峠・表尾根から登り、大倉尾根というのが定番です。高尾山と比べるとかなりのハードルートですが、富士山に挑むなら絶対に登っておくべき山です。

●三つ峠
 巨大な富士山を目の前に出来る、富士見で最も有名な山でしょう。太宰治の随筆にもこの山が登場します。

●鷹ノ巣山
 奥多摩の山で、東京都最高峰の雲取山に続く石尾根の途中にあります。頂上付近にカヤト(草原)を抱え、素晴らしい眺望です。

●大菩薩嶺
 この峠の名の、未完の長編小説で有名です。大和時代にまで遡る古甲州道の峠道です。甲府盆地を一望でき、南アルプスや富士の眺めも素晴らしいです。百名山の一つ。

 概ねこんな感じでしょうか。季節や天候によっては、難易度も大きく変わりますが、概ね標高差1000m程度で、行動時間が6時間前後と考えて選びました。上の方が難易度が低めです。順番的にも、何となくこんな感じで少しずつ山の標高や難易度を上げていけば、徐々に技術や体力を向上できると思います。

 もちろん、必ずしもこれに従わなくても構いません。自分の力量含めて、登りたい山にどんどん挑んでみて下さい。その興味こそ、山で必要な準備を揃えていくトレーニングになります。天気や山の情報を参考にしながら、必要なものをイメージしてみて下さい。そのベースとなるのが、これまで登ってきた経験です。たかが高尾山でも、「あの斜面であんな道具があったらいいな」とか、「こんな行動食、水分補給が出来たらいいな」とか、色々とあったかと思います。そのイメージを大切に、少しだけ難易度の増した山に挑むわけです。

月に到達したアポロも11号に至るまでに、10回もの試作、試験飛行がありました。月を周回して帰ってくるミッションもあったんですよ。どんな偉業も、ステップバイステップです。焦らず、確実に、楽しみながら進めていきましょう。

 次回は、万が一の非常装備です。

さて記念すべき10回目は、ブレイクタイム。山ご飯のお話です。山ご飯というと、普通はお弁当もしくはコンビニフード?でしょうか。それ以上となると、火を使わなければなりません。それにしても、キャンプのように飯盒や大鍋などはナンセンスですよね。

山の食事は、エネルギー補給としても大切ですし、モチベーションも高まります。多少まずくとも、山頂の絶景を見ながら食べる食事は格別です。景色をおかずに頬張る気分は、なにものにも代え難い、登山の魅力です。

最近は携帯性に優れたガスバーナーがあり、デイバッグでも簡単にお湯を沸かして料理を楽しめます。恐らくこれをお読みの多くの方は、それほど料理は得意でない方が多いでしょう(笑) まずはお湯・バーナーを使ったインスタント食品を主体にご紹介しましょう。

何と言っても最初の王道は、カップラーメンですね。バーナーと水、クッカー(鍋)があれば、いつでもどこでも楽しめます。カップラーメンの欠点は、ゴミが出ること。これは最近ですと、リフィルといってカップのないパック詰めのカップ麺があります。これを別容器で作ったり、あるいはクッカーに直接入れて煮込んでもOK。パッキングすれば驚くほどコンパクトになるのも魅力です。水さえ確保できればすぐ作れますので、非常食として1つだけ多目に携帯しても良いかもしれませんね。

唯一の欠点は、富士山など高山ではぬるいです(笑) 沸騰する温度、沸点が低いので、どうしてもぬるくなってしまうのです。私は正直申し上げると、まずいと心底思いました。これが唯一の欠点でしょうか。とりあえず、最も手軽な定番山ご飯としては、このリフィルのカップ麺がトップ候補ですね。

続いて、同じお湯で作る「インスタントお味噌汁」と「マジックライス」。お味噌汁は、あさげやゆうげなどが有名ですね。私は赤味噌のひるげが大好きです。マジックライスは、お湯を入れると15分で出来上がるご飯。これにプラスして、レトルトの「カレー」でしょう。全てお湯さえあれば作れます。インスタントでなくとも、生卵を持っていけば茹で玉子も目玉焼きも出来ます。生卵は、割れないように持っていけるケースがあるのでその心配もありません。

同じゆでるなら、ソーセージなどもいけますね。私はやったことがないですが。

他には、食パンを持っていって、バーナー用のトースターで焼くのもなかなかイケます。はっきり言ってパンが好きな人なら何も付けなくても美味しいと思いますが、ちょっと物足りないでしょうね。とろけるスライスチーズを挟んでホットサンドとか、試してみたいですね。火が通るかどうかは未知数ですが。意外とイケたのが、ヤマザキのランチパックというサンドイッチを、トースターで焼くという荒業。バターが溶けてたれる欠点はありましたが、挟まれたペーストが溶けてパンに染み込み、これまた格別でした。

トースターはお餅も焼けます。切り餅とのり、醤油を持っていって、焼きたての磯辺巻きなんてのもいいですね。これはお味噌汁とも合いそうです。

その他、パスタもショートパスタなら携帯性もよく、手軽に作れます。これに合わせるなら、粉末のスープがいいですね。パスタのゆで汁で作れるので、お湯も無駄になりません。

ざっと簡単に書いてみましたが、バーナーとクッカーとお湯だけあれば、これだけの食事は簡単に作れるということです。そう考えると、それだけでも山頂に登るのが楽しみになりますよね。暖かい食事は、心も暖まります。

とか言いながら、私も手軽な低山ではコンビニランチが多いです(爆) まあ、山は自由ですよ。家でお弁当を作ったっていいし、山小屋でお世話になってもいいし。でもやっぱり、非常事態の備えという意味も含めて、食事は欠かせません。どうせ食べるなら、美味しい方がいいに決まってます。素晴らしい景色を眺めながら、暖かい食事ができるという贅沢さを、是非一度味わってみて下さい。

でもやっぱり、富士山頂でのカップ麺だけは、お勧めしませんが(笑)

次回は、高尾山の次の山、についてです。

今回は、紫外線と虫です。
まず紫外線。山では標高1000m上がるごとに、紫外線が10~20%増加すると言われています。その為、紫外線対策はそれなりに必要です。「自分は日焼けしてもいい」とお考えの方もいらっしゃると思いますが、有害な紫外線が強いためお勧めはできません。

富士山ともなれば、平地と比べて40%以上も強い紫外線を浴びることになります。短時間であっても、あっという間に肌が赤みを帯びてきます。普段から日光に当たって仕事をされていたり、元々それなりに日焼けされている方なら大丈夫かもしれませんが、年配の方であれば確実シミになりますし、少なからず皮膚がんになる可能性もあります。

富士山に限らず、森林限界を越える山であれば日陰が全くなく、その標高とあいまって紫外線は強烈です。樹林の少ない稜線、丹沢なども注意した方がいいですね。

肌だけでなく、目も気を付けましょう。強烈な紫外線は、目にもダメージを与えます。白内障の原因にもなります。紫外線をカットできる眼鏡かサングラスがあるといいでしょう。

私が富士登山で一番日焼けした箇所は、手の甲と首筋でした。実は指なしのグローブをしていたのですが、手の甲にも穴が開いていて、そこだけ赤くなりました。首筋はタオルマフラーがあるから大丈夫かと思っていました。タオルマフラーはUVカットの機能がなく、とんだ盲点でした。

液体の日焼け止めも効果はあります。ただどうしても汗をかくため流れやすく、頻繁な塗り直しをするよりは、装備で解決する方が的確だと思います。顔だけは仕方ないですけどね。

富士山なら首回りは、バフがいいですね。これに虫除けスプレーをしておけば虫も来なくなり、一石二鳥です。降りで砂走を降りるなら、マスクがわりにもなります。砂走は前の人の砂埃が舞うんですよね。

幸い、登山用を謳う衣類なら、大抵紫外線対策がされています。もはや当然の機能と言えますね。

顔周辺の一番確実な紫外線対策は、帽子です。これは登山でなくても、アウトドアでの常識になっていますね。帽子は熱中症対策や寒いときは防寒、頭の保護、雨ならレインハットで雨も避けられます。必要性を強く言われることは意外と少ないですが、登山のマストアイテムです。

手の対策は、滑り止めつきのUVカット手袋がフェニックスやmont-bellから出ています。岩場や鎖場での怪我防止にもなるので、持っておくといいですね。

続いて虫対策。
虫も自然界である以上、避けられません。ある程度の距離感をおきたくても、こればかりは向こうからやってきます。

まずありがちなのは、顔の回りを飛び回るアブなどの羽虫。虫除けスプレーが一番ですが、これはあらかじめ帽子やタオルなどに吹き付けておくといいです。それでもやって来る羽虫はもう仕方ないです。

羽虫を寄せやすい匂いは、香水などの花の香りですね。山で香水がご法度なのは、虫を寄せてしまうからです。同じ理由で、香りの強いシャンプーも注意が必要です。虫除けスプレーをかけても全く効かず、どうしてだろうと考えてふと気が付いたのが、リンスの強い匂いでした。LUXなどはハチミツ香に似ていて、これも盲点でしたね。

Foxfireなどでは、スコーロンという虫除け効果のあるアイテムを販売しているところもあります。洗濯を繰り返しても効果が落ちないそうです。

虫に含んでしまいますが、ヒルなども厄介ですね。特に丹沢では大繁殖しています。スパッツにヒル避け剤を塗っておくのが一番でしょうか。万が一血を吸われたら、必ず退治するように注意が促されています。血を吸ったヒルは確実に卵を生みます。踏みつけた程度では死なないので、薬品か火を使ってください。

最後に最も危険な虫。スズメバチですね。
毒を持つ生き物としてはヘビもこれに準じます。絶対原則として、決して怒らせたり刺激したりしないこと。虫除けも全く効果がありません。一度怒らせると、怒りフェロモンを放って仲間のハチをも呼び寄せます。集団で襲われれば、最悪命に関わります。絶対に刺激しないでください。

スズメバチは、黒い色をめがけて襲ってくる習性があります。もし黒以外の明るい色のシェルや雨具があったら、それらを着れば避けやすくなります。
スズメバチが近くに来たら、焦らず距離を保ちましょう。相手も危険がないとわかれば、刺したりしません。動くものを追いかける習性もあるので、なるべくゆっくり距離を確保するのがいいです。叫んで走り出したりすると、ハチも驚いて警戒体制で追ってきます。

でも虫も爬虫類も、自然界の一員です。お邪魔させてもらっている人間にとっては、それなりの距離を保つべき相手なのだと思います。少し遠くから眺めれば、彼らの営みもほほえましいものです。春は蝶、夏は蝉、季節ごとに現れる虫も、山の楽しみのひとつですからね。

さて次回は、いよいよ山ご飯。といっても、簡単なものですが(笑)

画像
最近の登山スタイル(C)Foxfire

 今回はトレッキングポールです。ステッキ/ストックなどとも呼ばれます。
 トレッキングポールは、いわゆるお年寄りや体の不自由な人が使う杖とは、意義が全く異なります。何度もお話している通り、登山では状況の変化が著しく、そうした過酷な状況を少しでも安全に、快適にクリアするためのアイテムです。単なる、転ばぬ先の杖ではありません。第三第四の足となり、疲労を軽減するだけでなく、悪路での事故を未然に防ぐ心強い道具でもあります。また、万が一骨折した際などに添え木として用いたり、簡易テントの支柱や遭難時にレインウェアなどの上着を縛って旗にしたり、といった特殊な用い方も決して無い話ではありません。カメラの一脚として使えるオプションなどもあります。

 トレッキングポールには、通常1本で用いるT字グリップタイプと、2本ペアで用いるI字グリップタイプがあります。俗称では、T字をステッキ、I字をストックなどと呼び分けたりしていますが、これは本来言語の違いで(ステッキ:Stick英語・ストック:Stock独語)そう呼び分けているのは日本だけです。T字を2本持っている人がペアで用いたり、あるいは2本のI字の1本だけを使ったり、必ずしもグリップ形状でそう使わなければいけない、というものでもありません。

 まずは、通常1本で用いるTグリップタイプのものから説明しましょう。

 基本的にT字グリップは、Tの横棒部分を上から握る形で使うように作られています。最近は、Tの縦棒部分にもグリップをつけて、縦横両方で使える「ダブルグリップ」のものがほとんどです。

画像 この縦グリップ、横グリップの使い分けは、一般的に登りが縦グリップ、降りが横グリップと言われています。なぜそうなのか?

 実際に握って、地面に突いてみれば分かりますが、縦に握ると手首から先端までの長さが、上から横に握るより、短くなります。登坂では、自分の位置より高いところにポールを突きますから、長いと腕が吊り上げられてしまいます。縦に握っておけば、高めの段差などでも突き立てやすくなるのです。

 

画像 逆に降りの場合は横グリップで握ります。

 降りでは、自分の立ち居地より低い地面を突きますから、少しでも長いほうが助かります。横グリップで握っておけば、腕を伸ばして突き立てやすく、前方に体重をかける際も掌に体を預けやすいわけです。

 この2種類のグリップの使い分けをすれば、ほとんどポールの長さを調整せずに、最適の高さで使うことができます。このT字グリップでの登りと降りの使い分けを最初に覚えておけば、後に2本にした際にも、本来のトレッキングポールの威力を発揮しやすいです。

 実は、2本ペアのI字グリップは、T字のように握り位置で状況を対応できません。登りと降りで、その長さを調整する必要があります。しかも降りの際に、T字の横グリップのように、掌に体重を預けることができません。いきなり2本のI字グリップを手にした初心者は、これをうまく使いこなすことができないでしょう。実際、登山で2本を用いている方はとても多いですが、残念ながら使いこなしている方は少ないようです。Iグリップは少々慣れが必要ですね。

 そう考えると、まずはT字グリップを、1本でうまく使いこなせるように練習すると、良いのではないかと私は思います。私も最初は、T字1本から登山を始めました。そのうち同じT字をもう一本買い足し、それでダブルポールの練習をしました。その後、I字グリップのLEKIを購入したのですが、やっぱりI字をT字と同じように使いこなすのは難しかったです。特に降りですね。

 T字であれば、横グリップで簡単に、体重を預けて前に突くことができます。これがI字になると、体重を預けて前に突くのが俄然難しくなります。I字グリップを有効に使うには、ポールを最適の長さに調整することと、ストラップの使い方をマスターすることの2つが大切です。これを練習しておかないと、何の役にも立たないただの棒になってしまいます。

画像 I字グリップのストラップの使い方をマスターしましょう。まず、ストラップの輪っかの下側から手首を通します。間違いの多くは、これを上から通しているだけの握り方です。下から通すことで、手の甲の部分にストラップが来ます。そしてストラップの付け根部分が、掌の中に納まるようになります。

画像

 手の甲にストラップを当てたら、そのままストラップの付け根部分を包み込むように、グリップを握ります。こうすると、手に体重がかかるとストラップが自然に締め付けられ、掌から甲全体を包み込むように、体重を乗せることができます。

 間違ったストラップの使い方ですと、大抵手首を通しているだけで体重が乗せられないか、乗せていても不安定な握り方になっています。この正しいストラップの通し方をぜひ覚えてから、I字グリップを使いましょう。そうでないと、宝の持ち腐れどころか、不安定なポールによって転倒し、怪我をするかもしれません。

画像

 さて、握り方をマスターしたら、今度は突き方です。2本であっても、基本的にT字と同じです。登りの際は、前足付近に突き、体重を軽く預けて後ろに押します。

 大きな段差などでは、足より先に突いて、上半身を預けて前足をサポートします。その際2本であれば、はしごに登るように簡単に体を前足に乗せることができます。

 この「はしごに登るように」使えるのが、2本ポールの最大の利点ですね。

 数十センチにもなるような、高い段差を乗り越えるときなどは、ポールが長すぎてバンザイ状態になってしまいます。そういう時はストラップを外して、グリップの少し下で握り直すと、バンザイになりません。これはT字グリップでも同様ですね。

 ストラップにきちんと手が収まっていれば、T字グリップよりもしっかり体重を乗せられるはずです。しかも2本ですから、有効に使えば1本のT字よりはるかに効率のいい、登板ができるといえます。

画像さて、いよいよ下山です。これも基本的な使い方は、T字と全く同じです。Tでは前方に体重を預けるように使いましたが、I字でもそれと同じように、前足よりも前に突きます。それにより、足特に膝にかかる体重や強い衝撃を、手や上半身に分散できます。つまり、下山で壊しやすい膝を守ることができるわけです。

 大きな段差を降りる際は、2本を段差の下に突き立てます。両手のストラップに体重を預けたら、屈みながら片足を下ろします。これは登りで「はしごを登るように」と喩えたのと同様、「はしごを降りる」ようなイメージです。

 1本のT字では、体重を乗せることはできても、さすがにはしごのようにはなりません。T字で大きな段差を降りる際は、いわばカニ歩きのように、横に足を踏み出す形に近くなります。それが2本であれば、無理のない自然体で降りることができます。

 下山の際には、ポールの長さが必要になりますが、T字で握り方を変えたのと同じ応用が、実はI字グリップでもできます。それは、I字の頭の部分を、上から包み込むように握る方法です。

 一時的に大きな段差を降りる際など、長さを変えていると面倒です。上からグリップを握りしめれば、その分長さが稼げます。T字と同じように、掌に体重をかけることもできます。一般的なI字グリップであれば、上から包み込めるグリップ形状になっています。そうした応用ができるかどうかは、実はTグリップが使いこなせていれば、何も考えずにできるはずです。

 逆に言えば、Iグリップでそれをいきなりやるのは、ちょっと怖いかもしれません。そういう意味でもIグリップは難易度が高いでしょう。

 最後に、IにしてもTにしても、トレッキングポールが万能ではないことを、肝に銘じておいて下さい。手を使う必要のある急な岩場、鎖場、はしごなど、ポールを収納する場面は必ずあります。その際は、あせらず面倒がらず、収納しましょう。2本ポールの簡単な収納方法は、2つのストラップをカラビナで繋ぎ、首からかけておく方法です。ブラブラしないように、ザックのストラップに挟み込んでおけば、それで手を使うこともある程度可能です。しかしもし邪魔になりそうなら、無理せずザックに収納して下さいね。

 さて次回は、紫外線と虫です。


KunadonicLiveSpaceSystem

 岐神葵のぼうけんのしょ。

 岐神葵のブログらしいです。
「事実は小説より希なり」
 架空の人物の閉じた世界のありえない話なんかより、何百倍も面白いリアル体験。そんな人生を目標に、意味不明な挑戦と挫折を繰り返しています。

2017年10月
« 9月    
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
293031  

アーカイブ

涼規じゅん

  • RT @okome_dbs: 阪俺お品書きできました~。新刊をとても早く作ってしまったのでグッズも作ってみました。実用重視でバッグとメガネ拭きです、自分用の延長です。 しこ(やなうるぴ)様の委託品もあります。お隣は菜々様なので遊アキのようです♥ https://t.co/9cA… 1 day ago
  • RT @hanatsumi: 早くも続編のリリースが待ち遠しすぎるゆるゆる劇場。実は大昔別名義で同人誌まで出してたりして。結構な数余ってるので新たにハマった人に配って歩きたいところだけど、この本劇場版ネタだから劇場版がリリースされないと配れないな。あー劇場版がリリースされないと… 3 days ago

RSS カギの救急車Facebookページ

  • エラーが発生しました。フィードがダウンしているようです。あとでもう一度やり直してみてください。