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連載企画 富士山頂を目指そう!Vol.3ですよ

Posted on: 2013年4月20日

3回目は最も重要なアイテム、雨具です。

登山は多かれ少なかれ、危険を伴います。数年に一度必ず死者が出ます。必需品という意味では登山靴もザックもそうなんですが、雨具の意味する重要性とは根本から違います。登山靴もザックも、不足があっては登山できません。しかし雨具は、無くても登山できてしまう点が異なります。

そこに重大な盲点が潜んでいます。安易な気持ちで、あるいは知識や経験の不足から、この盲点を見過ごします。それが、死に至る共通事項であることを、ここで強く申し上げておきます。

用具の話から少し逸れますが、なぜ雨登山がそんなに危険なのか、簡単に説明します。

まず山では、気温が平地に比べて低いです。単純な計算方法では、標高100m上がると0.6℃下がると言われています。標高3000mの高山では、18℃も下がります。例え夏であっても、真冬のような気温となります。もしそこで雨にさらされれば、凍えるような寒さだとわかるでしょう。

さらに山では、風が強くなります。風での体感温度は、1m/sごとに1℃下がると言われています。遮蔽物のない山頂では、常に風速5m/s以上の風に曝されていたりします。仮に夏場でも、先の標高による気温差も足して考えれば、体感温度は氷点下にまでなるとわかるでしょう。

もしそんな環境下で雨となれば? そう、体温が急激に奪われます。つまりは、低体温症。雨具を疎かにすれば、間違いなく死に至るのです。

確かに夏の高尾山なら、雨で死ぬことはないかもしれません。でももしそんな高尾山気分で八ヶ岳に登っていたなら? 計算するまでもなく、最悪の条件となれば、死にます。

高尾山だけでいいなら、雨具なんて要りません。雨の日は行かなければいいし、雨宿りもできるし傘で事足ります。でも、富士山を目指すなら? 高尾山の延長で登山を考えることが危険だという意味が、お分かり頂けると思います。

むしろ高尾山程度の安全な山で、雨具の使い方や雨天での登山を経験しておくことが、とても良い経験になります。富士山を登りながら初めて雨に遭遇するのと、既に低山で雨登山を経験しているのとでは、その心持ちも大きく違います。なので、私はある程度山に慣れたら、雨登山に敢えて行ってみる事をお勧めします。高尾山程度でも、普段見慣れた山の様子とは全く違って見えるでしょう。それもまた山の楽しみです。雨の山の魅力が少しでも分かれば、つらい雨登山も少しは楽しめるはずですから。

前置きが長くなりました(笑) 登山靴でも少し話しましたが、登山用のレインウェアは実はとても優れています。登山靴の防水透湿と同じ、ゴアテックスのものが用意されているからです。この防水透湿性能は、雨登山をつらいものから、快適な登山へと変えてくれる、素敵なアイテムでもあるのです。

登山、特に登りでは、当然汗をかきます。これが山の雨天だと、先に書いた通り体を冷やす原因になります。汗冷えと言われる状態です。Tシャツ1枚などは論外ですが、ビニールの雨ガッパだとしても、地獄です。カッパの中は汗で蒸れてびっしょり。外は雨で体感温度も低く、どんどん冷やされます。低体温症の入口です。これがゴアテックスなら、中の湿気は外に逃げていきます。低体温症になる可能性が激減するのです。

またレインウェアには、ある程度の防寒・防風の機能も期待できます。悪天候時の強い味方であるのと同時に、山頂でのちょっとした体温調節にも役立ちます。ただの非常用装備ではないのです。

レインウェアは、上下2ピースに分かれています。下は汚れが目立たない、ダーク系の色が多いです。上着は、目立つ色が多いです。前にも書きましたが、レインウェアを用いるのは天気の悪いときです。視界が悪くなりますから、極力目立つ色にするのが望ましいわけです。最悪の遭難の際など、いち早く発見されやすいように、という究極の用途も併せ持っています。

雨具と称しましたが、これをお守りとして携帯しているだけの人と、雨でなくても積極的に使う人とがいます。どちらがいいという訳ではありませんが、なるべく使用する機会を設けた方が、いざという時にも慌てなくて済むでしょう。いずれにしても、本当に使いたいときに使えないと死に直結します。お守りなんかじゃないはずです。

最近はゴアテックスでなくとも、優れた防水透湿機能のレインウェアが揃っています。上下セットで1万円未満で揃います。もし購入されたら、高尾山程度で構いません。是非、雨登山を楽しんでみてください。その優れたレインウェアの快適ぶりを味わいながら、雨でなければ楽しめない、森の静けさ、生き物の息吹、霧に包まれた下界。展望ばかりでない山の違った楽しみが、きっと迎えてくれるはずです。

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 岐神葵のぼうけんのしょ。

 岐神葵のブログらしいです。
「事実は小説より希なり」
 架空の人物の閉じた世界のありえない話なんかより、何百倍も面白いリアル体験。そんな人生を目標に、意味不明な挑戦と挫折を繰り返しています。

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